米国を拠点とする**Cardiac Safety Research Consortium(心臓安全性研究コンソーシアム)**は、臨床試験における心臓安全性の評価において、従来定型的に使用されてきた薬剤(多くの場合抗菌薬のモキシフロキサシン)に代わり、食事や運動などの非薬理学的アプローチを活用するプロジェクトを支持しました。

このプロジェクトは、より効率的で患者中心の医薬品開発の促進に寄与するだけでなく、世界保健機関(WHO)による薬剤耐性(AMR)対策の推進にも貢献することが期待されています。

背景

心臓の収縮から回復までの間を表すQT間隔は、心拍リズムの指標として用いられます。
新規薬剤が不整脈などの異常な心電図変化を引き起こすリスクを評価するために実施されるTQT(Thorough QT)試験は、第III相試験開始前に必要とされる安全性試験です。

試験の概要

本研究は2025年4月より開始され、18か月間の多施設共同・非盲検試験として実施されます。
被験者は以下の4つのグループにランダムに割り当てられます:

  1. モキシフロキサシンを単回投与し、その後QT間隔を測定する群
  2. 10時間の絶食後に標準化された朝食を摂取し、その後QTを測定する群
  3. YMCA 3分間ステップテストという運動負荷後にQTを測定する群
  4. いずれの介入も行わない対照群

主な実施機関とパートナー

この研究は以下の組織との共同により実施されます:

  • Richmond Pharmacology
  • Richmond Research Institute
  • GmbH
  • DuckFlats Pharma
  • 米国食品医薬品局(FDA)
  • カナダ保健省(Health Canada)

今後の展望と呼びかけ

本試験は、世界中の複数の研究機関と治験医の協力によって成功が左右されるため、研究チームは新たな参画施設を募集中です。

リッチモンドCEOの**ヨーグ・トイベル医師(Dr. Jorg Taubel)**は次のように述べています:

「このプログラムは、心臓安全性評価の方法を簡素化できる可能性を秘めています。
私たちの目標は、製薬業界の負担を軽減し、必須のQT評価を早期段階の臨床試験に統合しやすくすることで、
より迅速かつ安全に新薬を患者へ届けられるよう支援することです。
この非薬理学的評価法を世界中で利用可能にするために、国際的な治験実施施設の参加を広く呼びかけています。」

📩 ご参加に関心のある研究機関の方は、下記までご連絡ください:
rri@richmondresearchinstitute.org